天王寺界隈を歩く


「うわ、大阪や、って思うたやろ。」
(なんかこいつ、めっちゃニヤけとる。ヨソもん連れてくる度に、同じこと言うとるな。)
けどまあ、きみが先に口滑らさへんかったら「うわっ」って声、出してしもとったけどね。

※※※

大阪駅周辺は近年の大規模再開発によってすっきり整備され、「迷宮のうめ地下」と呼ばれた巨大な地下街はいつの間にか天井も床も真っ白のピカピカになり、「Whityうめだ 」ってウソみたいやけどホンマにそんな名前になりました。

それでもやっぱり大阪は大阪。それは例えば、駅のホームで電車を待つ人の列が直線ではなく扇型なことだったり、駅前の信号がF1のスタートみたいに青に変るまでのカウントダウンを表示してることだったり、曾根崎警察署前の地下なんかそこがドコかわからんくらいに明るくなったけれど、相変わらず串かつ揚げる油の匂いが漂ってることだったり。この街はどんなに飾っても「遠慮の無さ」とか「お行儀の悪さ」が染み付いていて、まあ良く言えばバイタリティに溢れてるわけです。

ところがその大阪駅の周辺は「キタ」と呼ばれる大阪にしたらほんの玄関口で、まだまだお上品な「よそ行き」の顔してます。ボクもいちおう関西人やけど、大阪来るゆうたらだいたいこの辺まで。そっから「ミナミ」へ下っていくにしたがって、「大阪エキス」はどんどん濃くなっていくんやて。



久しぶりにあう友人の実家があるのは、大阪駅から乗り換えた環状線のマルのちょうど反対側っちゅうかミナミ側、その名はもちろん聖徳太子さんの四天王寺から来ているはずですが、なぜか四の文字が無くなってしまった天王寺。この辺まで来るともうボクも知らん大阪の臭いがぷんぷんしてきます。
さっきのイヌの看板がちょうどこの辺。言うとくの忘れてたけど、あれはあれでちゃんとした専門学校のリッパなビルなんよ。せやけど辺りの商店街の通りのワキをちょっと覗くと、ごらんのとおりで昼間でもコワイ。ひとりやったら絶対に入られへんて。

ま、まだ店は開いてへんみたいやから、近所をブラブラしてみよかっていうことで、

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「商売繁盛、笹もってこい」の今宮戎神社。十日戎と呼ばれる新年9日からの3日間は関西中の商売人が参拝に訪れ、その数なんと100万人にも及ぶんやそうですが、実際の境内はビルの谷間に挟まれて実にこじんまりとしてます。どうやってその人数をさばくんやろか。

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ほんで玉垣のすぐ外にゴミ袋。なんぼ境内の外やからいうて、そら無いんちゃうの。

そろそろ電車で戻ろうかって、すぐ近くの新今宮駅まで行ってみると、派手なシャツ着た茶髪のでっかいおっちゃんが別のおっちゃん二人に駅前の自転車を撤去させてはる。東京辺りやったらこういうんは帽子と制服の痩せたおっちゃんって相場が決まってるけど、やっぱりこの辺はちがうんやねぇ。ほんでエライ汗かきながら路駐のミニバイクをせっせとトラックに積み込んでいかはります。
「暑いねんから、早よしてぇな。」
声を聞いて気づきましたが、仁王立ちのでっかいおっちゃんはおばちゃんでした。そう言うたらあのシャツはヒョウ柄や。
(けどなんで自転車ほっといてバイクだけ載せてんやろ。でっかいカッター使って平気でチェーン切ってるし。)
・・・!
新今宮の駅を越えて環状線の外側出たら、その辺はもう釜ヶ崎っちゅう土地で、外国を旅行すると「行ってはいけない」と真顔で注意される場所ってありますけど、釜ヶ崎は正しくそういう場所なんですわ。あのおばちゃん、ホンマは何してはるんか分からんけど、「写真撮っといたろ」とかヘンな色気出さんでボクら助かったんかも。友人の手を引こうと振り向いたら、もうスタコラ反対側の入口へ向かってました。相変わらず友だち甲斐の無いヤツやわ。

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なんとか無事に駅のホームにたどり着いたら、目の前に変な形のビルが見える。取り壊し中みたいやけどジェットコースターのように曲がりくねったレールが途中で途切れていて、シュールな形になってます。なんでも元はインドア型の遊園地で、アレは本当にビルの中を走っていた(!)ジェットコースターの名残やそうなんですけど、なんちゅうかコンなとこにアンなもん建てて、流行ると思ったんやろかと思います。いらんお世話やけど。

そのあと天王寺に戻って早いうちから呑み始めたんやけど、それからどう過ごしてどうやって帰ったんかさっぱり思い出せません。やっぱり大阪はコワイ街や。


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