飛鳥川 男綱と女綱と彼岸花


美しい棚田が広がる奥明日香稲渕は集落に入るも出るも
棚底の谷を流れる飛鳥川に沿う道一本きりです。


その南の入口、勧請橋の下に小さな滝があって
袂に咲いた彼岸花が、せせらぎに小さな彩りを添えていました。

見上げると川を横切って綱が渡らせてあり、その名を「男綱」といい、




川を遡って集落の北の境まで出ると、そこには同じく綱が渡らせてあって、その名は「女綱」。


男女の印が集落の境に結われているのですね。

年に一度行われる綱掛けの儀式は、それぞれ別の日になされるそうなので互いが直接交わることはないようですが、川の上下を護って悪疫を避け豊穣をもたらすものとされているようです。

ところでその綱掛けの儀式は、男綱は神式、女綱は仏式と、神仏両道でなされるのだそうです。明日香は日本の宗教観が形成される過程において最も重要な時代を代表する舞台。「この風習は原始宗教的まじないから発し、時代の流れにそって変遷してきたものであろうか」などと想像をかきたてる、なんとも興味深いお話ですね。


0 コメント:

コメント欄の表示