夜明けのあかね雲


真夏だというのに上着を着こむほど冷えた空気は
しんと静まり返り
心臓の鼓動と同調するようにゆっくりと歩く足音が
踏んだ土から滲みていきます。

振り返ると薬師岳。

目覚めを促すようにさえずり始めた小鳥の声に
応えるように
空がゆるゆると白み始め
やがて雲があかね色に染まりました。

山の朝はこの上なく美しい。

今日もきっと、晴れそうです。



シリーズ:秘境雲ノ平へ


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