明けゆく北鎌尾根


明けゆく朝のグラデーションを
鋭角に切り裂く挑戦的なシルエット。

時おり聞こえる目覚めはじめた鳥たちのさえずりを除けば
あたりはしんと冷たく静まりかえり

漆黒の闇だった空に浮かびくる朝陽に
稜線がくっきりと浮かび上がり始めました
・・・・・・。

岩稜に魅せられた者なら
その名を知らぬはずもない北鎌尾根。
加藤文太郎、松濤明、
伝説を残した黎明期のクライマーたちの銘が
あの尾根には刻まれているのです。

駆け上がる夏の太陽が
すべての影を照らし尽くすまでの僅かな間

僕は先へ急ぐ足を止めて
その神々しくも美しい姿を
見つめ続けていたのでした。





シリーズ:秘境雲ノ平へ

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