乗鞍エコーラインをのぼる


どんよりと降りてきた雲に向けて
そろそろと登り始めた僕たちに
「スカイラインは濃霧で通行止めだよぉ。」と、
エコーラインのゲートを守るおじさんが声をかけてくれました。

高山へ行くには
スカイラインが使えなければ
このエコーラインを降りて回り道するしかありません。
でも、それじゃあ乗鞍には登れない。

再び昨日をはげしく後悔するも、
ここまで来たらきびすを返すわけにはいきません。
「とにかく、畳平へ。」
同じ道を折り返す覚悟で、
再び坂道を登り始めました。


昨日の疲れと曇り空に
テンションが下がるものかと思いきや
さすがにここは乗鞍。
高原の清々しい山道は
走っているだけで楽しくなります。


コンクリで固められた
落石防止のフェンスにさえ
ヤマユリが彩りを添え、
ここがタダの道路ではないことを
静かに主張していました。


つづら折れのカーブを曲がるたびに
少しずつ高度を上げながら、
一心不乱に坂道を登り続けるうち
気がつけばたれ込めていた雲は上空へ上がり、晴れ間が見え始めてきました。

朝晴れていても午後には大抵ガスで曇る、
というのが夏山の典型ですから
昼過ぎから晴れてくるのは奇跡的。

「日頃の行いの賜物やね。」

とおちゃさんは言いますが、
僕の日常を顧みるに、これは単に
神様の気まぐれに違いありません。

言葉通り善行多きおちゃさんに
それは言わずにおきましたけど。

さあ、道のりも高度もようやく半ば、
これから先が乗鞍の核心です。

大切な晴れ間を逃さないうちに
頑張って登ってしまいましょう。




シリーズ:乗鞍ふたたび


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