入鹿池の畔に建つ小さな住宅。 なんの変哲もなさげな家ですが ここには米国へ移民として渡った 日系人の歴史が刻まれています。 |
開国以来、極貧の生活から抜け出るため、海外で一旗揚げて故郷に錦を飾るため、多くのフロンティア精神を持った日本人が海外へ出ていきました。
しかしそのほとんどが原野の開墾や僅かな賃金での下働きなど厳しい労働を強いられ、非常な苦労をされたそうです。
シアトルに住む日系移民の家族が、そんな苦労を経てやっとの思いで手に入れた住宅がこの家でした。
大量生産の規格木材で出来上がった、いわゆる2x4工法の建売り住宅です。
2階部分は、その当時の慎ましい生活の調度品が再現されています。
ところが、太平洋戦争が始まると家族は強制収容され、この家を追われてしまいました。
戦後は再び日系人の所有となり、英語が苦手な移民一世のため、日本語でミサを行う教会として再生されました。
異国で辛酸をなめ苦労のを乗り越えた上で、安息を求め母国語での教義を聞くため集まってくる人々の想いはどんなものであったでしょう。
1階はその教会が再現されています。
1階と2階、たった数段の階段を隔てた上下の空間に、
戦争という大きな隔たりをもった2つの歴史が
この小さな家に再現されているのです。
「旅のあしあと」で全体をみる
0 コメント:
コメント欄の表示