明治村のメインストリート、レンガ通りを下ると、
東の坂の上に特徴的な八角形の尖塔が見えます。
薄緑の木造外壁が穏やかな冬の陽光を吸い込んで
一層柔らかな色になり、穏やかな佇まいを見せています。
ここは、北里柴三郎が設立した北里研究所の本館だった建物です。
北里柴三郎は、幕末間もない明治18年にドイツへ留学し、破傷風菌の発見と血清療法の開発に大きく貢献した偉大な医学者です。
帰国後、東大との確執から官を辞し、自費で北里研究所を興したそうです。
彼はその後、慶応大学医学部や日本医学会の設立にも尽力した、現代日本医学会の父のような人ですね。
細菌学に深い関わりのある彼にちなんで、当時の顕微鏡が数多く展示されています。
屋内はひっそりと静まり返り、磨き込まれた階段が鈍く光を反射しています。
研究施設ですから華美な装飾など一切ありませんが、
木造の建築物は重ねた年月が染み付いて独特の色になり、それだけで美しい。
北里研究所は、医療のみならず化学工学全般にわたって日本最高の研究機関へと成長し、今日の技術立国日本の礎となっています。
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