改めて、太陽の塔

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万博記念公園の中央に屹然と聳え立つ白い巨塔。


あまりに奇抜なその姿は作者の強烈な個性を映したものでしたが、
制作から40年の月日を経て、今や誰もが知る象徴的な存在となりました。

近くで見ると、その存在感に圧倒されます。
金色の顔にはキセノン灯による強力なビーム光を発する目が備わっており、夜ごと輝くその光は夜空を切り裂き、高度成長の真っ只中にあって右肩上がりの成長を続けていた日本の未来を照らすかのようでした。

日本は元より世界中から人が殺到した万博では、パビリオンと呼ばれる展示施設に入場するのに2時間や3時間並ぶのは当たり前でしたから、シンボルである太陽の塔の中に入って見学できたのは、少年時代の私の密かな自慢でありました。

多くの人々は当時の私と同じく、万国博覧会に未来の夢を重ね、希望と誇りに満ちてこの塔を仰ぎ見たことでしょう。

けれど今改めて見るとハリボテのような金色の顔より、背面に暗いブルーで描かれた「過去の顔」と腹で苦しみもがくようにも見える「現在の顔」が、40年後の現代社会の歪みと苦悩を予言するかのようにも感じられ、色褪せない造形を作り上げた岡本太郎氏の深い洞察に改めて感銘を覚えます。

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万博の開催当時は銀色の大屋根に空いた丸い穴に窮屈そうに押込めれていましたが、その大屋根は骨組みのほんの一部を記念に残して解体され、今は広々とした芝生の上で、おそらくこの方があるべき姿であったかのように青空に向かってすくっと延び、心持ち背のびしているかのようですらあります。

いったい、彼にはどこまでの未来が見えていたのでしょうか。

ちなみに太陽の塔にはもう一つ、地下に展示されていた第四の顔が存在します。
万博閉幕後以来その顔は行方知れずとなっているそうですが、
来るべき時にひょっこりその姿を現して、我々に再び何かを問いかけてくるのではないか、とそんな風にも思えます。



















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