曇天の上に青空が〜白馬八方尾根


どんよりと垂れ込める雲の中を黙々と登っていくクワッドリフトに腰掛け、前方のカップルが濃い霧のカーテンの奥へゆっくりと呑み込まれていくをぼんやり眺めていると、突然、その霧の向こうから歓声が聞こえてきました。
続いてその位置までせり上がったリフトの上で、僕の声にも感嘆符!。低層に沈む雲を越えたそこは快晴の別世界で、彼方には壮大な北アルプスのパノラマが広がっていたのです。




黒菱平までの林道をヒルクライムするつもりがタイヤのサイドカットで諦めて、せめて展望だけでもと乗り込んだゴンドラリフトも曇天で視界ゼロ。そんな踏んだり蹴ったりで沈んだテンションが一気に急上昇して正に気分が「昇天」した瞬間でした。

ここ八方尾根ではスキー客向けのゴンドラとリフトが通年で運転されていて、本来なら岳人が半日がかりで登る山道を一気に駆け上り、そこからわずか一時間ほどのトレッキングで八方池に映る白馬三山の幻想風景を拝める場所までたどり着けます。
一応クライマーを自称するボクとしては、これに乗っかるのは反則級の邪道であるハズですが、早朝の爽やかな2000m上空の空気を快晴の下でしこたま味わい、ツミの意識など何処へやら、至高の幸福感に満たされてしまったのでありました。


さらに下山の頃にはすっかり麓の雲も消え、ゴンドラからは紅葉のパノラマさえ堪能することができました。なんと素晴らしき八方尾根!

もはやココを歩いて登ろうという気持ちにはなれないのではないか、とか、一抹の不安が心によぎったのは、シアワセすぎた今日の運を均すためのおまじない。

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