棚田のある風景




大阪最北端の山間を縫う能勢街道を北進し
妙見山を穿つトンネルを抜けると見えてくる

急峻な里の谷を埋める
棚田の列。

ここに暮らす人の営みが
ひとつひとつ石を積重ね
水と土と草と木と稲と作物と
鳥と人と獣たちによって
長い歲月をかけて醸成され

たった一年、耕作を休んでしまうだけで
たちまち崩れるほど繊細なこの景色は

高層ビルやアスファルトの直線と対極をなす
人工の極み。


横文字の価値観だけでは
決して造られることがなかった風景が
ここにある。



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