ひなげしの丘


立川の
飛行場跡に盛られた丘に咲く
ひなげしの赤い花。

シャーレポピー、コクリコ、虞美人草とも呼ばれます。

英雄の末路を嘆き舞った美女の骸に咲き、
フランダースの野に並ぶ兵士たちの墓標にも咲いた花です。


時折、
隣接する基地から飛び立つ輸送ヘリの爆音が響き渡り、
やがて小鳥たちのさえずりがその音を上書きします。



小鳥たちの棲む森は戦後に育った若い森です。


小説「虞美人草」の中で
「春に誇るものはことごとく亡ぶ」
と漱石は言いました。

けれど枯れた花は種を残し
その種を撒けば来年も
ふたたび同じ花が咲くことでしょう。

梅雨へ向かう季節に吹く爽やかな風が
ささやかな願いを運ぶ、
ここは昭和記念公園 花の丘です。






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