小浜へ下る




県道脇の、うっかりすると見過ごしてしまうような
川沿いの小径が林道の入り口。



曲がりくねった細い道に散らばる
雨で崩れ放題の崖からこぼれた落石を避けながら
ひとしきり登ると、
寂しい山道に似つかわしくないほどリッパな石碑が現れました。

最後のピーク五波峠に到着です。


愛知ー滋賀ー京都と渡り、
とうとう目的の福井に入ったのです。
県境の立看を眺めながら、
おちゃさんもしばし感慨にふけります。


つらい登りもここで最後、
あとは海まで下り下り。
ようやく今朝の思惑通りにラクできそうと思った矢先、
タップリと梅雨を吸い込んだ厚い雲が
とうとうその重みに耐えられずに破れてしまい
シトシト、ザアザア
雨が落ちてきてしまいました。

しばし木陰に避難するも
いったん堰を切った雨が
そう簡単に収まるとも思えず、
峠の木々の葉に落ちる雨音の風情は
十分堪能しましたので
思い切って走り始めることにしました。

当然、どろんこです。

どろんこ遊びが楽しいのは
帰ればお風呂が湧いていて
綺麗に洗濯してくれる人がいて
翌日は洗いたてに着替えられる
という担保があるからです。

全部自分タチでやんなきゃならない
オトナのオトコ三人連れが
どろんこになって楽しいハズはありません。

それでもナントカ、山を下り
下るとそこは結構晴れてて
ご機嫌バロメータも回復します。


そしてついに、若狭湾へでました。


商店街にも、でかでかと鯖街道の看板が。

んふふ。

走ってきたかいがあるってもんでしょ。


はまちゃんと僕が、
余韻を胸に浜辺でマッタリしている間に
おちゃさんがオトナの交渉術を駆使して
リッパなホテルを格安で確保し、
さっそく僕らは、
タップリと温泉湯が満たされた大浴場へダイブ。
さらに商店街へ繰り出して
二日前の教訓はどこへやら
お疲れ様のディープな宴へもダイブ。

途中、やり残したことは
「サバを喰う」
というコトだけではなかったことに気づくも、
もはやアトのマツリ。

脱ぎ散らかしたままのウエアとシューズは
ゆっくりとバイオな香りを纏いはじめているのでした。

******

翌朝、
洗濯されることはなかったウエアはバイオケミカル。
当然それを再び着ると言う選択肢を思いつくハズもなく
はまちゃんはビーサン、僕はスリッパで
のそのそと外へ繰り出します。

「どうせあとは電車に乗って帰るだけだし。」

まったりと小浜城跡を見学し、
「さて、近くにフィッシャマンズワーフなんてのがあるようですがね」
と、帰りの電車までのヒマつぶしを画策しようとする
はまちゃんと僕を
チラリと一瞥したおちゃさん、
「じゃ、僕はここから敦賀まで走りますから」

ゲゲ。
そういえばひとりだけ、
ぴっちりジャージを着てるじゃありませんか。

さすがにマットウで太っ腹でリッパなオトナのおちゃさん、
せっかくのチャンスは骨までしゃぶる
強かさをもっています。

このあと彼は、
敦賀どころか米原まで自走したんだそうですと。

スゴ。

******

さて、いつになるかわかりませんが、
ぜひまた次回。

その時の顛末は、
なお乞うご期待。



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