北摂の峠をゆく



北摂山地は800m足らずの低山帯ですが、
亀岡盆地を挟んで奥は丹波山地にまでつながる広大な山域の南端に位置し、
起伏に富んだ斜面と多くの渓流を有します。
また山陰道と西国街道に挟まれ京大阪にも近いことから
多くの峠越えの街道細道が通り、
古くからの人の営みが育てた段畑や雑木林の
のどかな光景が今も残る地域です。

そしてここは、僕にとっては故郷の山。
小学校の頃の学校のマラソンコースもこの山域を通ったし
「歩け歩け大会」と称する市のイベントに参加して
20kmだったか30kmだったかのコースを一日かけて歩いた思い出もあります。

平野部は宅地造成によってずいぶん変わってしまったけれど、
山ではまだ、昔の面影を探すことができるかもしれません。

今回はそんな北摂山地を
自転車でゆっくりと走ってみました。


スケートの高橋大輔が練習に来るという
関西大学の高槻キャンパスを脇にみながらバス道を北上すると程無く道幅が狭まり、廃校で公民館に変わってしまった萩谷分校あたりまでくるともうすっかり田舎道に変わります。



いちだんと細くなった道の最初のコーナーを曲がると。。。たぶん、斜度20%あるんじゃないかと思われる急斜面が数百メートル(この斜面を写真に撮ってる余裕はありませんでした)。
あれ、今日はゆっくり走るんじゃなかったっけか。


もちろん、この斜度でスピードが上がるわけはなくゆるゆると、それでも久々に足つきそうなくらいに心臓バクバクでなんとか登りきった先に車止め。

ここからはじまる林道の目印です。





時々舗装が途切れたりしますが、なんとかロードでこなせる路面。
近くに採石場なんかがあってたまにダンプ(!)が通るらしいですが、幸い今日は出くわすこともなく小鳥のさえずりを聞きながら平和に進みます。







この辺りは「地獄谷峠」と呼ばれています。

古くは平城京の昔からすでに峠越えの道があったそうですが、
当時は山深く険しい道であったろうことが、その名から偲ばれます。

今でもそれなりに急斜面ではありますけど。




峠の東には、長岡京との境にあるポンポン山がみえます。
頂上付近で足踏みするとポンポン鳴るからポンポン山、
地元の俗称なんですが、いつの間にか地図にもこの名で載るようになりました。
正月には初日を拝む登山客で頂上がいっぱいになるほど人気があります。

秋色に染まる山肌は、おそらく子供の頃に見た光景と変わらないものなのでしょう。

僕が美しいと感じるものの原点は、
きっとここにあるんだろうなと思います。

「いいところに生まれたな」と素直につぶやいてみるのでした。





0 コメント:

コメント欄の表示