川久保渓谷、水源の森


川久保という名前はあまり有名ではありませんけれど、ここから染みこんだ水が形成する地下水脈は、かのウィスキー蒸溜所でも知られる名水「山崎の水」。
すなわちこの渓谷は、高級ブランドの天然水が文字どおり滝のように溢れ出るというありがたい場所なのであります。


小鳥たちの歌声が絶えない緑深い森に覆われた山から、涼やかな風とともに流れ落ちる渓流。サワガニが遊ぶ浅瀬におりて両手でひとすくい、口にふくめば当然ながら美味しいのです。いやはや、この水で暮らせる流域のみなさんは本当の贅沢をしているといえるでしょう。


とはいえこの「天然水」、相手は自然そのものですから、維持するためには川そのものはもちろん、植林やら護林やら、たえず山ごと森ごと手入れし続ける必要があるわけで、転がっている贅沢をタダで手入れるという甘いお話ではありません。通りすがりのよそ者で浮かれハイカーたるワタクシめは、その義務を果たさずこっそりとオコボレを頂戴していくワケなので、せめて汚さず壊さず足音さえもひそやかに、と心がけたいものであります。


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