ポケットに収まった両手は、「用がないなら呼ばないで」とでも言うように、ダウンジャケットの柔かくて暖かい内張りの中から出てきてくれそうにありません。
振り子がいない歩幅はいつもよりぎこちなく狭まって、なんだかおそるおそる、つま先立って歩く、寒い冬の散歩道。
冬色に青ざめて寂しくなった道の脇で、さざんかの花が艶やかな赤色を散らしていました。
ゆっくりと腰掛ける人が少なくなったからか、木製のベンチにはうっすらと苔が育ち、その緑色が斜めから射す日差しを柔らかくうけとめています。
暖かい場所は居心地が良くて、たとえ用があっても外には出たくないのだけれど。
外は外で、ちゃんと毎日変わり続けて。
それを見るには、やっぱり外へ、でなくちゃね。
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