京都を始発して賑わう市街を走っていたかと思うとすぐにゆるゆると坂を登り始め、
車窓の景色は一気に山深い渓谷へとすり替わっていく。
舟下りで有名な保津峡だ。
さらにその先のトンネルを抜けると、収穫を終えてすっかり刈り取られてしまった田んぼが広がる山間の盆地に差し掛かる。
通り過ぎようとする駅の小さなホームに屋根はなく、掲げられた「祝 山陰本線複線化」の祝の朱文字が真新しくて、それだけがやけに目立つ。
山陰という名前には寂れた灰色が似合うのだ、と、どこかで刷り込まれてしまっているからかもしれない。
園部駅に降り立ち、肌寒い秋風に吹かれてみてようやく「まずい」という気になったが、
「何をいまさら」とでも言いたいのだろう、黒みを増した雲はますます重くなり、
輪行袋から取り出した自転車を組み立て終えた頃にはとうとうポツポツ雨粒をこぼし始めてしまった。
ここからさらに坂を登って山に入る予定だけど、上へ行くほど天気は悪くなるものだ。
このまま踵を返す手もないではないが、ハズレたままでは天気予報も悔しかろう。
信じて進んでみようじゃないか。
じきに本降りになった雨が、先月の残暑の中ならヒートアップしてたるんできていただろう筋肉を適当に冷やして締めてくれる。
いわゆる水冷ってやつだ。
雨に打たれながら走るのも意外と快適なのかもしれない。
ドロだらけになった自転車や雨水を吸ってグズグズ言い始めた靴下、そろそろ冷えすぎて鳥肌だってきた背中など、その他もろもろに目をつぶればの話だけれど。
2時間走って美山の道の駅へたどり着くと、目論見通りに晴れ間が見え始めてきた。
おんなじ様な思いで走ってきたに違いないバイク乗りたちも、一息つきにここへ集結。
塵が落ちて空気が澄んだか、水を得て色が濃くなったか。
いずれにせよ雨の中走ってきたご褒美と思って紅葉を眺める。
曇のち雨、そののち再び晴れ間がのぞく。
終わりよければ全てよし。
車窓の景色は一気に山深い渓谷へとすり替わっていく。
舟下りで有名な保津峡だ。
さらにその先のトンネルを抜けると、収穫を終えてすっかり刈り取られてしまった田んぼが広がる山間の盆地に差し掛かる。
通り過ぎようとする駅の小さなホームに屋根はなく、掲げられた「祝 山陰本線複線化」の祝の朱文字が真新しくて、それだけがやけに目立つ。
山陰という名前には寂れた灰色が似合うのだ、と、どこかで刷り込まれてしまっているからかもしれない。
「灰色がお好みなら」と、地元の神様がへそを曲げたわけでもないのだろうけど、京都を出る頃には確かに晴れていた空が亀岡を過ぎる辺りでみるみる曇りだしてきた。 電車が進む方向にはどんより立ち込める雲が見える。 少しだけ残った日差しに照らされ浮かび上がった虹を見てちょっとはしゃいだ気持ちになったのは、車内の空調が快適なせいで朝の予報の降水確率0%をまだ信じていれたからだった。 |
園部駅に降り立ち、肌寒い秋風に吹かれてみてようやく「まずい」という気になったが、
「何をいまさら」とでも言いたいのだろう、黒みを増した雲はますます重くなり、
輪行袋から取り出した自転車を組み立て終えた頃にはとうとうポツポツ雨粒をこぼし始めてしまった。
ここからさらに坂を登って山に入る予定だけど、上へ行くほど天気は悪くなるものだ。
このまま踵を返す手もないではないが、ハズレたままでは天気予報も悔しかろう。
信じて進んでみようじゃないか。
じきに本降りになった雨が、先月の残暑の中ならヒートアップしてたるんできていただろう筋肉を適当に冷やして締めてくれる。
いわゆる水冷ってやつだ。
雨に打たれながら走るのも意外と快適なのかもしれない。
ドロだらけになった自転車や雨水を吸ってグズグズ言い始めた靴下、そろそろ冷えすぎて鳥肌だってきた背中など、その他もろもろに目をつぶればの話だけれど。
2時間走って美山の道の駅へたどり着くと、目論見通りに晴れ間が見え始めてきた。
おんなじ様な思いで走ってきたに違いないバイク乗りたちも、一息つきにここへ集結。
塵が落ちて空気が澄んだか、水を得て色が濃くなったか。
いずれにせよ雨の中走ってきたご褒美と思って紅葉を眺める。
曇のち雨、そののち再び晴れ間がのぞく。
終わりよければ全てよし。
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