四万十に沿って緩やかに


つい今しがたまで海岸線を走っていたはずが、
気がつけば山深く四万十川の上流に居たのです。

場所がら九十九神のいたずらかと思いたくもなりますが、
川は内陸部の山から海へ
直線的に流れるものだという思い込みが
その錯覚を生むのであり、
河口からいったん遠のく素振りの四万十は
実は大きく蛇行してその上流は海岸線近くまで迫ってきており、
さらに川と海との間に急峻な山が壁のようにそそり立って
両者の空間を完全に遮断しているために、
小さな峠道を越えてくるだけで
まるで回り舞台の場面が転換するような
鮮やかに景観の変化を楽しめるわけなのです。

※※※

さて前日、丸一日の雨中行脚を走り終えて、
ずぶ濡れのウエアやらシューズやらを
ところ狭しと吊り拡げ
せっかく端正に仕上げられたホテルの一室を
まるで学生時分の下宿部屋を思い出すほどにうらぶれさせて
そのまま一夜を明かしてみれば、
さすがにホテルの乾燥具合はすさまじいものらしく
なにもかもウソのように
きれいに乾ききっていたのでした。

こうなると現金なもので
昨日は気持ちいいとまで悟った雨を
今日はさらに鬱陶しく思い始め、
朝になってもジトジトと湿ったままの空を窓越しに眺めながら
「今日こそはテレビを見て過ごすべきか」
とマジメに考え始めましたが、
日曜日に朝ドラは無いことにハタと気付き
しかたなく重い腰が上がったのでした。

今日は四万十足摺無限大チャレンジライドの2日目。

メインイベントの四万十川へ向けて海岸線を走るのですが、
雨はなんとか止んだものの相変わらずのどんより曇空。
仕方ないので引っ張ってってもらおうと
走れそうな人たちが組むトレインの最後尾に
こっそりくっついてみたもののの、
それはこの時期、こんな辺境(すみません)までやってきて
走ろうって人たちだから
それは相当、ホントに走れる人たちなので
その隊列は、まるでギアの歯数まで揃えたように
皆おなじペースで(もちろん相当な高速で)ペダルを回転させ、
まるで山野を駈ける修行僧と
苦行をともにするかのよう。

苦しくなってきたので
そろそろホントに念仏を唱え始めたくなった頃、


トンネルを越えてふと見上げてみれば、
なんと雲が切れて青空が輝きはじめているではありませんか!

さすが神の棲む川、四万十川。
祈るより前に効き目が先に現れるとは。

さっそく修行僧の列から離脱し、
「春風に流されながらの低速巡航」モードに切り替えて
残りの距離を楽しむことにいたしました。


前半戦でしっかり時間を詰められましたから、
あとは憧れの清流に寄り添いながらユルユルと。


終わってみれば、
なんとも充実した二日間を過ごすことができたのでした。

ああ、やっぱり来てよかった。

来年また。。。
ここに来るのに丸一日がかりかと思うと、
それにはそうとう勢いが必要なのですけれどね。




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