安曇野の一本桜



「櫻の樹の下には
屍体が埋まっている。」
ああ、きっとそれは本当なんだろうと
素直にそう思えてしまう、

あちらとこちらの境目に湧き上がるような
妖しい美しさ。



常念岳の裾野に広がる安曇野に
ぽつり、ぽつりと立つ桜のたもとには
かならずそこに寄り添う墓標。


墓守のために植えたのか
それともそこへ埋めたのか。


じっと見とれていると
引きこまれてしまいそうな、
心の底では
それを望んでいるような。



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