自転車乗りは異音がキライ

鉄道とかアニメとかフィギュアとか、
アイテムに固執する者たちをマニアなどと呼んだりしますが、

自転車乗りもメカにこだわる点ではかなりマニアックであります。

ペダルを踏んだ時の感触とか、ブレーキレバーを握った時の反応とか、
ハンドルを通じて伝わるタイヤや車輪の振動とか、
一般から見ればどうでもいいことにいちいちこだわったりします。

もっとも、自転車はいったん跨ってしまうと曲がるも止まるもメカ任せで
機構の不具合は即事故に繋がってしまいますから、
このこだわりはそれなりに必要なものでもありますけどね。

まあそういうわけで、自転車乗りは自転車が発する音には敏感なわけです。

ブレーキの「キーッ」とかいう音鳴は大嫌いですし、
ペダルを踏み込んだ時に「ミシ」とか「ガタ」とか「ゴリ」とかの異音がすると、
すぐに走るのを止めて自宅に持って帰って分解したくなるのです。




あたしのこの自転車は2000年モデルなんで、かれこれ12年。
仕事が忙しくて暫く乗らなかった時期もありましたが、
走行距離はすでに数万キロのオーダーです。

あちこちガタが来ても当然ですが、
フレームの塗装なんかは所々剥がれているにせよ、
こまめに(あるいはマニアックに)
分解掃除とグリスアップを欠かさなかったおかげで
今まで調子よく走っておりました。

ところが先月、八ヶ岳へ遠征に出かけたあたりから
坂道でペダルに負荷をかけると
「ミシミシっ」という嫌な鳴き声を上げるようになりました。

いろいろ試した結果
”スプロケットと、これを支えるフリーハブボディの嵌め合い”
に問題があるとわかりました。
(なんのことかって?これがマニアックってことなのさ。)



見れば、ハブの表面は積年の過労で傷だらけ、そりゃキシんで音もするでしょう。
でも12年前の特製品なので部品も本体ももはや入手不能、
交換するならホイール(車輪)ごとになりそうです。

グリスを厚く塗り、何度か組み直して試してみましたが、
しばらく走るとギシギシ鳴き出してしまいます。

軽くて回転抵抗が少ないホイールっていうのは、
マニアが要求するマニアックな製品だけに
「しょうがないなー、ちょっと替えてみるか」
なんて、簡単に交換できる値段じゃありません。

諦める前にもうひとあがきできないものか。

そこで思い出したのが「魔法のケミカル」
Microlon。





このMicrolon、自転車の整備関連でネットサーフィンしてると
よく見かけるケミカル(油だの溶剤だのといういわいる化学薬品ね。)なんです。


純正のルブやグリスが1000円しないで買えるところを、
その10倍の法外なお値段がする怪しげな代物で
しかも並行輸入モノです。

だいたい、たかが油でそんなに変わるもんかいね、と
まあ、当然疑います。
普通なら、手、だしません。

それでもホイールごと交換するのに比べりゃ安いもんです。
ダメ元で試してみますか。

説明によると、スプレータイプの
Metal Treatment は
金属表面をコーティングして摩擦抵抗を減らすとか。

要するに部品をテフロン加工するってこと?

で、こいつで表面加工したあとに
Assemble lube
を塗って組み立て直すと摩擦抵抗が劇的に下がる、ラシイ。

「アヤしい。」

まるで何かの訪問販売の売り文句のようで
とてつもなくアヤシイ。

さらにネットで調べると、
スプレーを塗布する前にドライヤーで加熱しろ、とか
まことしやかに書かれてます。

ますますアヤシイ。

まあでも、買っちゃたんだから
もうダマされるしかありません。

言われる通り、部品を綺麗に洗ってから
ドライヤーでホカホカに温め、
Metal Treatmentをスプレーして再び乾かし
Assemble lubeを塗って組み付けました。


で、結果。
組み直してから半月、もう500kmほど走ってますが、
嫌な異音はすっかり消え失せ
元通り快調そのものです。

ウムム、恐るべしMicrolon。

正にマニアが推薦するマニア向けのマニアック製品。
値段なりの、いや期待以上の結果であります。
ホイールを買っちゃう前に試してみてよかった。

ちなみに、マニアには
「音鳴りを我慢する」
という選択肢はないのですよ。


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